そう聞かれれば、迷わず僕は、「足」、と答える。
なかなか日本では、足を最重要視する考え方は定着していないが、それなりに様々な分野の先生が「足」に注目している。
中には、「骨盤(仙腸関節という体幹の要)」が一番大事だとする先生や、頚椎が一番大事だとする先生もいる。
それはそれで1つの考え方であり間違っているわけでもないことはよく理解できる。
現に僕自身、昔は頭蓋骨、頚椎、骨盤が一番大切だと考えていた。
あらゆるスポーツ障害、それが前回書いたランナー膝であれ、野球肘であれ、どれも頚椎、骨盤が大切だと考えていた。
が、勿論今は違う。
一般論では、野球肘なら肩、肘、手首、指を一番重要視して考えるが、勿論それは「患部」に近いところが一番大切なわけですから自然な考え方であります。
ランナー膝なら膝、股関節、骨盤、腰椎が一番重要になります。それは勿論「患部」に近いわけですから当たり前の話です。
が、実は野球肘もランナー膝も事の発端は、「足」にあると考えるのが最も本質的になります。
例えば、ランナー膝であれば、腸頸靭帯に如何に負担をかけずに走るかが重要になります。逆に言えば、腸頸靭帯に過度に負担をかけて走っているからオーバーユースして痛めるわけです。
ということは、腸頸靭帯だけに過度に負担がかからないような重心バランスに変えるか、指、足首でもっと衝撃を吸収し膝、股関節にかかる衝撃を減らせるように、「足」の筋力、柔軟性を確保、向上していけば良いわけです。
この理屈は気付けさえすれば極めて簡単な理屈です。
よって、ランナー膝の治し方で書いたように、「足首と指」の連動トレーニング、最低限の筋力と柔軟性を同時に確保しながら、重心バランスまで正常に変える方法、を毎日やるように書いたわけです。
ランナー膝の治療でいくら骨盤、股関節、膝関節、おしり、太もも、の筋肉にアプローチをかけていても、その場はラクにはなりますが、走ればまた直ぐに負担が集中して再発するわけです。
ランナー膝を経験された方はわかるように、調子が良い時と悪い時があります。痛みがなくいつもより長く走れる時があったり、あれ?治った?と勘違いしてしまう時があったりしますが、あれは微妙な重心バランスの変化や準備運動での足首、指の微妙な柔軟性具合で負担のかかり方が変わるために起こる現象です。
勿論、患部である腸頸靭帯そのもの、おしりの筋肉との兼ね合いも影響しますが、基本的にアップを一切しなくても、重心バランスさえしっかりしていれば早く走れるかは抜きにしても、普通は痛みは出ません。
それは先程も書いたように、そもそも腸頸靭帯だけに負担(衝撃)を集中させていないからです。
野球肘も理屈は同じで、肘と足、一見遠く離れていますから関連性はないように思いますが、実は関連性大有りです。
野球選手は想像しやすいですが、ボールを投げる時の前足、キャッチー側に出す足の向き、足の裏にかかる重心バランスによって、下半身、体幹の使われ方が大きく変わります。
例えば、投げる時の前足が、着地と同時にがに股になり過ぎれば、膝が自然と開きます。膝が自然と開けば、腰が開いてしまいます。腰が開いてしまえば肩が開き、腕が遅れて出てきてしまいます。
しかも、投げれば投げるほどその開きは顕著になり、腕が遅れて出てこれば出てくるほど、体幹と腕が分離し、腕だけの力に依存して投げることになります。
これでは肘や肩を痛めるのは解剖学上も当たり前の話になってきます。
よって、これを一言でまとめれば、「投球フォームの異常から来る故障」と断定でき、かつ何がいけないのかが(ここでは「前足のがに股による開きの早さ」) はっきりしていますから、この投球フォームを治すために前足のがに股を治す必要があります。
ここをやらずして肩や肘や手首だけに執着していては、治りが早い遅いではなく、再発する前提で治していることになり、問題解決にはなりません。
むしろ、足のみを治し、実際の患部はほったらかしにしていても良いほどです。「野球肘の治し方」の時にも書きましたが、一切患部に触れなくても、投球フォームを治してしまえば軽度の野球肘なら直ぐに投げれるようになるのは何も珍しい話ではないわけです。
逆に重度であれば、患部の痛みがひくまでに、徹底したフォーム改善(下半身から足の裏)をし、反復トレーニングをしておけば良いわけです。
すると不思議なことに、患部は安静にしていましたから筋力は低下していますが、下半身の筋力は治療中ずっと正しい投球フォームの反復トレーニングをしていましたから向上し、故障前よりも急速が上がったり、殆んど変わらなかったりするわけです。
よって、患部はあくまで「下半身」、特に「足首、指」、の筋力不足、柔軟性不足、重心バランスの異常から来る負担の「結果」であって、大元は全て「足」にあるということになるわけです。
よって、パフォーマンス向上、故障しない肉体を維持する上で最も重要な部位は、「足」にある。という結論になるわけです。
後は具体的に、どう足を見ていくかは先生方によって違ってきますし、様々な理論が成り立つかもしれません。
ランナー膝で書いたように、足首の外反(回内とも呼びます)の行き過ぎによる腸頸靭帯への過度な負担による痛み、と捉える海外の主要な先生方の考え方も1つありますし、僕はもう1つ原因があることを知っていますから、2つの原因があり、それを治せば全てのランナー膝は治ることを知っているわけです。
只し、治すには指導通りに実践する本人の努力と、治るまでちゃんと通うだけの根気がなければ治りませんが(笑)。
と、話が反れますが、ここがまた重要で、案外皆さんいい加減で、ランナー膝にせよ野球肘にせよ、腰痛だって五十肩だってそうなんですが、何にもしなくてもその内に治るかな?なんて安易に考えていたりするわけです(皆が皆じゃないですよ)。
確かに何にもしなければいつかは痛みが無くなります普通は。しかし、痛みが無くなるのと、治るのは全く別問題です。
何でも努力もせず治るなら、また走れるようになるのなら、また投げれるようになるのなら、またスポーツできるようになるのなら、また普通の今まで通りの生活ができるなら、僕らだって医者だっていらないし、皆故障せずにスポーツやってるわけですよね。世の中不健康な人がいなくなるわけですよね。
治らない、再発する、元の状態に戻らないから皆困ってるわけです。
だったらちゃんと理屈を理解して納得できたなら、言われた通りに努力して下さいなと、それができなきゃ毎日毎日僕のとこに来てもらってスパルタ指導するだけです(笑)。
それも嫌なら自ら治すのを放棄してるのと同じなわけで、そんな気持ちもわかるんですけど、そこまで来たら病は気から。既に気持ちが病んでます。
と、どこへ行っても何をしても治らない方、困ってる方は読んで下さいな。治療家やトレーナー、指導者も皆読んで下さいな。
全部は書けませんが、それでもかなり最先端?かつ、本質的な内容です。
誰でも自分で最低限の管理ができるように、という視点で書いてますから、誰も言わない、教えてくれないこと書いてますから、それなりに考えて読んでもらう必要がありますが(笑)。
それが嫌なら病院、治療院を転々として、ひたすら極少数の「まともな先生」を探してみて下さい。
それも1つの手ですし、遠回りでも決して悪いことではなく、先生達もピンキリなんだな、と、身を持って実感されますから、僕は個人的にそういう行き当たりばったり的な感じも好きですから、で、遠回りしてまたこのブログに戻ってきて下さい(笑)。
その頃は閉鎖。なんてね、以上、最後の方は余談です。